Mをたずねて100マイル
前日にMと大喧嘩をした。別れることにした。
じっとしていられない。さびしさを紛らわすために、体を酷使することにした。
マウンテンバイクをかついで、独り列車で西に向かった。
山梨のとある村で自転車を組み立てていると、Mへ想いが募ってきた。どうしても別れたくない。
「これからMのところに帰る。山梨から自転車で山を越えて帰る。ひたすらMのところに向かって走る。自然のなかで心を澄まして帰るから待っていてくれ。もし無事に帰れたら暖かく迎えてくれ。二人でやきとんを食べよう。それからずっと仲良く暮らしていこう!」
胸にこみ上げてきた熱い熱い思いをメールに託した。
「湖に落ちないようにね。やきとんはあんまり食べたくないな」
Mからのお返事は拍子抜けするものだった。
まあ、返事がきただけよかった。
それから漕いだ。峠をいくつも越えた。奥多摩湖を通りすぎた。ひたすら漕いだ。Mに向かって漕いだ。
お尻が痛い。足が痛い。腕が痛い。腰が痛い。喉がかわく。向かい風がつらい。
だまっていれば、こっそり電車で帰れたのに。Mに熱いこと言っちゃったからやめるわけにいかなくなっちゃった(泣)
10時間かかって東京に帰りついた。
Mとやきとん屋に行った。ビールをむさぼるように飲んだ。Mはワインを涼しげに飲んでいる。
仲直りした。
この二人の温度差は何?
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